看護師の職場は、病院だけではありません。
いま、病院・クリニック以外での勤務も注目を集めています。
中でも、需要が高まりつつあるのが「デイサービス」での勤務です。
今回は、看護師のデイサービス勤務に関する、さまざまな情報を集めました!
・仕事内容
・給料
・メリット/デメリット
など、気になる疑問を解決します。
目次
①そもそも「デイサービス」とは?
デイサービスとは、サポートが必要な高齢者(要介護・要支援認定を受けている人)が利用する、日帰りの施設です。
「通所介護」とも呼ばれます。
・食事や入浴などの生活支援
・心と体の機能訓練
・利用者同士の交流
を目的としており、利用者が自立した生活を送れるよう、総合的なサポートを行っています。
②デイサービス看護師の仕事内容
病院では、病気や怪我に対するケア、言うなれば「一点集中型」の看護を行います。
一方、デイサービスでは、利用者一人一人の生活に向き合った「総合型」の看護が求められます。
主な仕事内容としては
・血圧や体温、脈拍などのバイタルチェック
・身長や体重、栄養状態などの管理
です。
これらのチェックを、利用者の生活の中で必要な場面に応じて行い、適切な指示を行うのが看護師の仕事です。
例えば、食事の際は、利用者が正しく咀嚼・嚥下できているか判断します。
それに応じて、食事の形状についても指示を行います。
また、入浴の際も、看護師が実施可能か判断します。
デイサービスでは、生活の中のさまざまな場面で、さまざまなサービス(入浴、食事、運動、リハビリなど)を提供します。
その際にチェック・判断・指示するのが看護師の仕事です。
デイサービスは、身体に不調があるときには利用できません。
そのため、利用者の体調に問題無いかどうかチェックすることが重要なのです。
中には、外科的障害だけでなく、脳や心臓、内臓疾患を患っている利用者もいます。
バイタルチェックや健康管理、利用者の観察を通じて、疾患や異常の早期発見をすることが看護師の役割です。
さらに、状況に応じて利用者本人や家族にもアドバイスをしたり、健康相談に乗ったりもします。
また、簡単な処置を行うこともあります。
③デイサービス看護師のメリット/デメリット
◆デイサービス働くメリット
(1)プライベートの時間を確保できる!
デイサービスでは、夕方になると利用者が帰宅します。
仕事は日中のみで、夕方には終わります。勤務時間の延長もありません。
また、日曜・祝日や年末年始、お盆期間は休業する施設も多いです。
そのため、他の職場と比べて、プライベートの時間が確保しやすいのが特徴です。
・仕事終わりの時間を有効活用できる!
・家事や育児の時間を確保できる!
・友人や恋人と予定が合わせやすい!
などメリット盛りだくさんです。
24時間体制の病院には無いメリットですね。
(2)ブランクからの復帰でも働きやすい
デイサービスの利用者は、基本的に「元気のあるお年寄り」です。
重症な人はいません。急変に対応しなければならない、ということはほとんどないので、安心です。
ゆとりを持ちながら仕事できます。
また、デイサービスの仕事では、本格的な医療行為は行いません。
医師からの指示がない、看護師独断での医療行為は禁じられていますし、行う処置といえば
・入浴後の薬の貼り換え、塗り直し
・擦り傷、切り傷など、軽微な症状への手当
・痰の吸引
・経管栄養(胃ろう)の注入
など、比較的簡単なものに限られます。
そのため、専門性のあるスキルなどは求められません。
よって「ブランク明けで、スキル面が不安…」という方でも働きやすい職場だと言えます。
(3)デイサービスならではの「やりがい」がある
デイサービスの仕事では、利用者や家族とコミュニケーションをとり、じっくり向き合います。
利用者一人一人とのかかわりも深く、その分利用者が自立していく際には、何にも代えがたい「やりがい」があります。
◆デイサービスで働くデメリット
(1)病院勤務の場合よりも、低収入
病院勤務の看護師と、デイサービス勤務の看護師(常勤)の平均収入を比較してみましょう。
病院勤務 | デイサービス勤務(常勤) | |
月収(平均) | 約33万円 (基本給約25万5000円+各種手当) |
約25万円 |
年収(平均) | 約472万円 | 300~350万円 (ボーナスによって変動) |
また、パート・派遣の時給を比較すると、以下のとおりです。
病院 | デイサービス | |
時給(平均) | 2,000円前後 | 1,600~1,700円 |
どちらを見ても、デイサービス勤務のほうが、収入が低いですよね。
これは、何故なのでしょうか?
理由としてはまず、手当による差が大きいからです。
病院勤務の場合、基本給に加えて
・夜勤手当(1回につき5,000~1万円)
・残業手当
が支給されます。
一方で、デイサービス勤務の場合、残業はほぼ無し、日勤のみなので夜勤もありません。
そのため、病院勤務の基本給だけにあたる金額(約25万円)くらいしかもらえない、というわけなんです。
さらに、デイサービスならではの理由もあります。
それは、国が定めた「介護福祉法」により、デイサービス利用料を勝手に引き上げることができないからです。
法律によって、要介護レベルが高い人ほど、少ない負担でデイサービス利用ができるように定められています。
なので、デイサービス施設側が勝手に高い料金を徴収することはできません。
その結果、そこで働く看護師の収入額にも響いてしまうのです。
(2)スキル低下の不安・物足りなさを感じる場合も…
デイサービス利用者の中には、重症な人はいません。
急変もほぼなく、臨機応変な対応を求められることもありません。
また、行う処置もごく簡単なものに限られています。
これを
・安心
・働きやすい
と捉える人もいますが、逆を言えば看護師としてのスキル低下にもつながりかねません。
また「物足りない」と感じる人もいるでしょう。
看護師として、
・スキルを保ちたい人
・バリバリ働きたい人
には、あまり向いていないかもしれません。
(3)医療行為ができず、歯がゆい思いをするケースも…
医師からの指示がない、看護師独断での医療行為はNG。
利用者に対して医療行為が必要な場合は
看護師からケアマネージャーに報告
↓
ケアマネージャーが担当医師と連絡、処置について話し合う
という回り道が必要になります。
・利用者から不調を訴えられた場合
・看護師が利用者の不調に気づいた場合
でも、すぐに施術をすることはできません。
このような制限があることに対し、歯がゆい思いをする看護師もいるようです。
(4)人間関係で悩むことも…
デイサービスには看護師以外にも、さまざまなスタッフが常駐しています。
主なスタッフ | 役割 |
ケアマネージャー | 介護のマネジメントを行う。
介護プランの作成など、デスクワークが主。 |
介護士 | 実際に介護を行う人。
利用者の世話全般を行う。 |
生活相談員 | ・ケアマネージャーとの連絡の橋渡し
・家族や利用者の相談業務 ・事務手続き ・介護プラン作成補助 などを行う |
機能訓練指導員 | 理学療法士や作業療法士などが就くのが一般的。
ときには、看護師が機能訓練指導をすることもある。 |
このように、さまざまな立場のスタッフが働いている職場なので、連携して働くことが重要です。
デイサービスの現場では、介護のマネジメントを行うケアマネージャー、それを実行する介護士が中心となって仕事します。
看護師は、その仕事を行う際に、状況に応じた専門的アドバイスや判断を求められる、いわばサポート役に回るわけです。
しかし、看護師としてのプライドが高い人や、病院勤務の意識を引きずっている人は
・立ち位置に悩む
・ほかのスタッフと衝突する
など、人間関係のトラブルで悩んでしまうこともあるようです。
(5)経験不足の人には不向きかも…
デイサービスで働く看護師は、たびたび専門職としての判断を求められます。
あまり経験がないままデイサービス勤務になってしまった場合、自分の判断に自信が持てない…というケースもあるようです。
④まとめ~デイサービスに向いている人~
お給料の低さや看護師としてのスキルアップの点をデメリットとして書きましたが、
裏を返せばスキルが求められないとういのは、ブランクのある看護師にとっては、復帰するのに良い職場ともいえます。
夜勤がないのも、家庭と仕事を両立できるので、自分のペースで生活できますね。
デイサービスでは、ブランクのある方や体力面で病棟勤務がキツくなってきた看護師が、
経験を生かしてゆっくり働ける職場といます。