看護師の主な職場

泌尿器科の仕事内容、必要スキル、メリット・デメリット

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泌尿器科について、どんなイメージを持っているでしょうか?

なんとなく、マイナスイメージを抱いている看護師さんも多いかもしれませんね。

確かに、泌尿器科は他の科とは異なる独特な部分もあります。

しかし、だからこそ、泌尿器科ならではのメリットもあるのです。

今回は、泌尿器科についての基礎知識や仕事内容、泌尿器科のメリット/デメリットなどの情報をまとめました。

①泌尿器科ってどんなところ?

②泌尿器科では、男性患者が圧倒的多数

③泌尿器科で働くメリット/デメリット

④泌尿器科の看護師は、どんな仕事をするの?

⑤泌尿器科で働く看護師に必要なスキルとは?

の5つに分けて解説していきます。

【①泌尿器科ってどんなところ?】

泌尿器科って、どんな症状を扱うところなのでしょうか。

泌尿器科学については、以下のように定義づけられています。

泌尿器科学(ひにょうきかがく、英語: urology)は、主に尿路系、生殖器系について診療研究を行う医学の一分野。

腎臓・尿管・膀胱・尿道などの尿路系、または副腎等の内分泌系、陰嚢内臓器(睾丸・副睾丸・精索)・陰茎・前立腺などの男性生殖器系(女性生殖器系は含まれない→産科学や婦人科学の領域)を取り扱う。 同じ領域を扱う内科学の分野として、腎臓学がある。

引用元:wiki/泌尿器科学

また、クリニックでの治療内容についてのページを見てみると、以下のような記載がありました。

尿と排尿に関すること一切、男性性器に関すること、ED、性病、包茎、男性性機能障害(早漏など)や、男性更年期障害を治療しております。

引用元:あらき腎・泌尿器科クリニック

これらの記述をまとめると、泌尿器科は尿や性器に関して、

あらゆる症状に対応した診療科だということがわかります。

泌尿器科で扱う臓器としては、

・腎臓

・膀胱

・尿管

・尿道

・陰茎

・精巣

・前立腺

が挙げられます。

これらを見ても、尿と性器に関して幅広く対応する科だということがわかりますね。

【②泌尿器科では、男性患者が圧倒的多数】

泌尿器科では、尿や性器に関する病気を扱っています。

しかし、女性の場合、性器に関しての症状があるときは婦人科を受診することも多く、

泌尿器科に訪れる女性患者の数は比較的少ないです。

泌尿器科を訪れる患者さんの男女比は8:2と、圧倒的に男性の患者さんが多い傾向にあります。

そのため、泌尿器科で働く看護師にも男性が多いのが、他の科と大きく異なる点です。

しかし、泌尿器科系の病気の中には女性がかかりやすい病気もあり、

女性患者さんもたびたび泌尿器科を訪れます。

例えば、尿失禁。

切迫性尿失禁は男女問わず起こる病気ですし、腹圧性尿失禁に関しては、

女性のほうが多くかかると言われています。

膀胱炎も、女性がかかりやすい病気のひとつ。

男女問わず発症する可能性があるものの、女性は男性と比べ、

なんと500倍もかかりやすいと言われています。

女性の2人に1人が経験するとも言われている、女性の発症率が非常に高い病気です。

さらに、骨盤性器脱は、産道が緩むことで骨盤の臓器が飛び出してしまう、

骨盤のヘルニアです。これも、女性特有の症状です。

上に挙げたように、泌尿器科系の病気の中には、女性特有のものや女性が多くかかるものもあります。

しかし、泌尿器科を訪れる患者さんは男性が圧倒的に多いため、受診をためらってしまう女性患者さんも少なくありません。

そのため、女性専用外来を設けるなどして、来院しやすい環境を整えている病院もあります。

【③泌尿器科で働くメリット/デメリット】

泌尿器科というと、勤務をためらってしまう看護師も少なくないと思います。

たしかにデメリットもありますが、泌尿器科ならではのメリットも存在します。

どんなメリット・デメリットがあるのか、見ていきましょう。

 《泌尿器科で働くメリット》

(1)プライベートとの両立がしやすい!

泌尿器科は、病院よりもクリニックが運営していることが多い傾向にあります。

クリニックは、入院設備の無いところも多くあります。

そのため、そういったクリニックでの勤務の場合は、夜勤が無いというメリットがあるのです。

多忙な勤務や夜勤に追われることの多い看護師にとって、夜勤が無い職場というのは非常に魅力的。

また、クリニックの場合、決められた休日があって、その日はしっかり休めるという場合が多いです。

休日出勤の心配もほとんどないのもメリットですね。

・プライベート重視の働き方をしたい!

・結婚して家庭もあるので、子供や家族との時間を大切にしたい!

というように、仕事とプライベートの両立を目指す人には良い環境だと言えるでしょう。

(2)人間関係の面で、働きやすい!

泌尿器科に訪れる患者さんのほとんどは男性です。

それに伴って、勤務する看護師も比較的男性が多いです。

通常、看護師の職場では女性が多数なこともほとんど。

そうすると、何かと問題が起こることも多くて、人間関係のストレスに悩まされることも少なくないはず。

しかし、男性が比較的多い泌尿器科は、他の科と比べて人間関係が良好なことも多いです。

職場における人間関係は、働きやすさを大きく左右します。

良好な人間関係や、働きやすい職場を重視するひとには良い選択肢だと言えるでしょう。

《泌尿器科で働くデメリット》

(1)若い女性看護師にとっては、負担がかかる場面も…

泌尿器科という特性上、性器に関する病気も扱います。

男性器も治療対象なので、少々仕事がやりにくい場面もあるのが事実です。

例えば、あまり考えたくないケースですが、患者さんからセクハラを受けてしまうケースもあります。

また、患者さん側が若い女性看護師に抵抗感を覚え、敬遠されてしまうケースもあります。

仕事に慣れ、ベテランになれば、冗談交じりにうまく言葉を返すこともできるでしょうが、

若い女性看護師にとってはストレスになる場面もあるかも……というのがデメリットです。

(2)デリケートな部分の剃毛が多い

泌尿器科での手術の場合、事前に剃毛するケースがほとんど。

デリケートな部分に近い箇所の剃毛なので、最初のうちは戸惑ったり、緊張したりするかもしれません。

しかしこれも、慣れると特に問題無くスムーズにできるようになるはずなので、

それほど重く考える必要はないでしょう。

 (3)給料が比較的低め

看護師全体で考えた場合の平均年収は、約470万円です。

それに対し、泌尿器科の看護師の平均年収は、だいたい350~400万円程度だと言われています。

これは、泌尿器科の勤務環境や、勤務形態によるものです。

泌尿器科はクリニックが多いですが、クリニックは病院と比べ、給料が安価である傾向にあります。

夜勤がなく、日勤のみのクリニックも多いからです。

また、パートやアルバイトでの勤務もあることから、平均年収は他の科と比べて低い傾向にあります。

【④泌尿器科の看護師は、どんな仕事をするの?】

泌尿器科では、診る病気の特性上、検査や手術が多く行われるという特徴があります。

そのため、検査や手術の介助などの仕事を多くすることになります。

また、それだけではなく、外来に関係することもあります。

では、実際のところ、泌尿器科の看護師はどのような仕事をしているのでしょうか?

具体的に確認しましょう。

 (1)外来の患者さんへの対応

・外来の患者さんのバイタルチェック、問診

・医師の診察の介助

・患者さんへの説明

などを行います。

(2)検査介助

泌尿器科では、

・尿検査

・内視鏡検査

・カテーテル検査

・X線検査

など、多様な検査を行います。

これらの検査の介助も、看護師の業務の一部です。

また、採血や点滴、輸液管理などを任されることも。

(3)病棟での、患者さんへのケア

入院施設が備えられている病院やクリニックでの勤務の場合、病棟でのケアも大切な仕事の1つ。

・日常的な処置やケア

・治療方針の説明

などを行います。

また、患者さんは多くの不安を抱えているもの。

患者さんとコミュニケーションをとって、不安を取り除いてあげるのも看護師の役目です。

(4)手術介助

泌尿器科で扱う症状は多岐にわたり、手術も多く行われています。

そのため、手術介助をする機会も多いです。

・術前の処置(剃毛など)

・手術の準備

・術後の処置やケア

などを行います。

(5)人工透析

尿や性器に関わる病気や臓器を扱うのが、泌尿器科です。

腎臓の病気についても泌尿器科で治療が行われるため、

腎臓病治療の一環として人工透析を行うこともあります。

その際、看護師が透析の処置を任されることもあります。

総合病院のみならず、透析室を持っているクリニックもあるので、

病院・クリニック問わず人工透析に関わる機会はあるでしょう。

そのため、総合病院で勤務する時だけではなく、クリニックで働く場合も人工透析に関わることがあります。

【⑤泌尿器科で働く看護師に必要なスキルとは?】

泌尿器科で働くためには、どんなスキルが求められるのでしょうか?

代表的なものを5つご紹介します。

(1)看護スキルは、基本をおさえておけばOK!

泌尿器科への転職の時点では、基礎的な看護の知識や能力さえあればOKです。

特別なスキルを身につけておく必要は、特にありません。

(2)予め、泌尿器科に関する情報収集をしておこう!

泌尿器科でこれから働く、という方は、泌尿器科に関する情報収集をしておくべきです。

「患者さんは、圧倒的に男性が多い」など、他の科との差異がいろいろある泌尿器科。

最低限の情報をおさえておくことで、実際の業務にもスムーズに取り掛かれるはずです。

(3)積極的に勉強しよう!

泌尿器科は、尿や性器に関する病気を幅広く扱っています。

尿に関する病気や性病の他、腎臓病治療の一環として透析を必要とする人、

癌患者など、さまざまな症状を抱えた人に対応しなければなりません。

さまざまな患者さんに、適切なケアをするためには、幅広い知識が必要です。

時には、尿や性器に関してだけでなく、全身のケアが必要な症状の場合もあるので、

循環器全体や呼吸器全体など、満遍なく勉強することが求められます。

また、化学療法などもたびたび行われます。

さらに、泌尿器科で扱われる医療機器は非常に種類が多いです。

それらに関しての知識や理解、正しく使いこなすことも重要なのです。

勉強することも多いですが、その分日々新しい仕事に臨めて、スキルアップにも繋がる仕事です。

積極的に勉強し、新しいことを取り入れる熱心さが必須スキルとなります。

さらに、透析が必要な人や、癌の人など、全身をケアすることが必要な患者さんに対応することもあります。

(4)繊細な問題に対応できる、コミュニケーション能力

泌尿器科では、尿や性器に関する病気を取り扱うという性質上、

患者さんのデリケートな部分を診察することになります。

そのため、泌尿器科の受診事態に抵抗感があり、

病院に行くのをためらってしまう患者さんもいるほどです。

また、いざ来院しても、診察時に恥ずかしく思ったり、

不安に思ったりする患者さんがとても多く居ます。

看護師に求められるのは、患者さんが持つ不安を取り除けるような、

適切で細かなコミュニケーションです。

例えば、説明を丁寧に行うことで、患者さんの不安も和らぎます。

また、患者さんの悩みや不安を真摯に聞くことも、患者さんの安心に繋がります。

精神的に寄り添うようなケアが求められるのです。

(5)羞恥心を捨てて業務に臨むこと!

泌尿器科の仕事の中には、抵抗感や恥ずかしさを覚えてしまうような機会もたびたびあります。

例えば、手術前の処置として、手術の邪魔にならないよう陰毛を処理する「剃毛」がありますが、

「剃毛」をする機会は、泌尿器科では多いです。

男性の陰部の剃毛をすることに、抵抗を覚える看護師も少なくありません。

しかし、「剃毛」の際に看護師がまごついていたらどうでしょうか?

患者さんも、不安や羞恥を覚えるはずです。

患者さん側も、当然デリケートな部分を晒すことに恥ずかしいと思うもの。

なのに、看護師が恥ずかしがっていたら、

患者さんの恥ずかしさを余計に増幅し、精神的負担を与えかねないのです。

また、看護師が恥ずかしがって動揺していたら、最悪の場合、陰部を傷つけかねません。

大変危険です。

大切なのは、仕事は仕事と割り切って、羞恥心を捨てること。

冷静かつ淡々と処置したほうが、患者さんにとっても居心地が良いはずです。

最初は処置に戸惑うかもしれませんが、陰部を目にする機会も多いので、そのうち慣れることでしょう。

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