看護師人口は年々増加中。全国で150万人以上もの人が、看護師として働いています。
そんな中、看護師の中で注目を集めているのが「資格の取得」です。
・キャリアアップにつながる
・活躍のフィールドが広がる
・転職に役立つ
など、資格を取ることによるメリットはいろいろあります。
そこで今回は、看護師に人気のオススメ資格トップ10をご紹介します。
目次
【人気資格1位】認定看護師
1995年から行われている、日本看護協会による認定審査です。
救急看護、緩和ケアなど、21の専門分野が設けられ、専門分野に特化した高い技術・優れた知識を持つ看護師を生み出すことが目的となっています。
2015年時点で、約1万6000人もの看護師が取得している、人気の資格です。
認定看護師の取得条件
資格取得には、条件があります。
1.看護師、助産師、保健師のいずれかの免許を持っていること
2.5年以上の実務経験があること(うち3年は専門分野での看護経験が必要)
※期間は、連続ではなく通算でOK!
これらの条件を満たした人が、認定看護師教育機関において、専門分野に応じた「認定看護師教育課程」の教育を受けることができます。
6カ月・600時間以上の教育課程を修了すると、いよいよ認定審査(筆記試験)です。
それをパスすれば「認定看護師」として認められ、認定証の発行・登録が受けられます。
認定看護師のメリット
1.昇進に繋がる
2.病院内での活動のフィールドが広がる(ほかの看護師や、他部署への指導など)
3.夜勤が減る/免除されることが多い
4.同じ分野で働く、他の病院の仲間が増える
【人気資格第2位】専門看護師
こちらも、日本看護協会が行っている試験です。11の専門分野が設けられています。
認定看護師との違いは、仕事を通じて関わる人の多さ。
認定看護師は、特定分野のエキスパートとして、他の看護師や他部署への指導など、主に病院内での活躍に繋がります。
一方、専門看護師は、看護のエキスパートとして、患者さんや病院スタッフだけでなく、患者さんの家族や、地域社会にも携わることになります。
資格取得の取得条件
資格取得には、条件があります。
1.看護師免許を持っていること
2.5年以上の実務経験があること(うち3年は専門分野での看護経験が必要)
3.看護系大学院を卒業していること
大学院に2年通う必要があることから、資格取得のハードルはかなり低いです。
専門看護師は希少性が高く、全国に約1,700人程度しかいません(2016年6月時点)。
この条件を満たしたうえで試験に合格すると「専門看護師」として認定されることになります。
専門看護師のメリット
1.患者さん、家族、医療従事者、地域社会など、多くの人を巻き込んで仕事ができる
2.多くの人と携わる分、信頼される存在になれる(仕事のやりがいアップ)
3.興味のある専門分野についてのエキスパートになれる
4.転職の際、アピールポイントになる
【人気資格第3位】保健師
保健師は、国家資格です。
病気・ケガをした人の治療に携わるのが看護師ですが、保健師は病気・ケガの予防に関わるのが役目です。
企業や学校、保健センターなどでの健康教育や相談、健康診断を通じ、地域に関わる多くの人の健康増進に寄与します。
試験は年1回実施されていて、合格率は8割~9割程度です。全国で約5万9000人が保健師として活躍しています(平成26年時点、看護協会調べ)。
保険師の取得条件
保健師になる方法は、2通りあります。
まず、看護師免許を取得してから「保健師学校」(1年課程の専門学校や短大)に通う方法です。保健師学校でのカリキュラムを修了したあと、国家試験を受けることができます。
もう1つは「保健師・看護師統合カリキュラム」を行っている学校に通うことです。
多くの場合は大学ですが、このようなカリキュラムをとっている看護専門学校も一部存在します。ここに通えば、4年間で看護師・保健師の国家試験受験資格を得ることができます。
ただし、保健師として働くには、看護師免許も持っていることが必須なので、この場合は両方の試験にパスしないと、保健師として働くことはできません。
保健師のメリット
1.残業が少なく、定時で帰れる
2.土日祝日に休みが取れるので、友人や恋人と予定が合わせやすい
3.ほとんどの職場で、有給休暇が取りやすい
4.およそ6割は公務員として働くことになるので、安定している
【人気資格第4位】助産師
助産師はいわば「お産のプロ」。
仕事は、出産の際の介助だけではありません。
・妊婦の健康管理(食事、運動の指導)
・出産後の体調管理
・授乳指導や育児相談、保険指導
など、妊娠から出産、育児に至るまで、お母さんと赤ちゃんを総合的にサポートする仕事です。
助産師資格を得るためには、国家試験の受験が必要。合格率は9割後半と、易しい試験です。
助産師の取得条件
まず、看護師免許を持っていることが前提となります。
その後、助産師教育期間(専門学校や大学など)1~2年間学び、卒業・修了が必要です。
そのような過程を経て、国家資格の受験資格をゲット。合格すれば、晴れて「助産師」の仲間入りとなります。
助産師のメリット
1.看護師と比べ、高収入が期待できる
(助産手当がつくので、年収が平均70万円以上アップ)
2.通常分娩に関する医療行為が可能になる
(赤ちゃんを取り上げる、へその緒を切るなど。こうした行為は看護師には認められていません)
3.開業権があるので、助産院を開くことができる
4.妊娠~育児までお母さん・赤ちゃんを見届けられるので、やりがいがある
【人気資格第5位】ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアマネジャーは、介護のマネジメントを行う仕事です。
介護保険のスペシャリストで、
・ケアプラン(サービス計画書)の作成
・市区町村やサービス事業者との調整
など、介護を必要とする方が、適切なサービスを受けられるよう、利用者と事業者・自治体の橋渡しをする役割です。
国家試験で、試験をパスしたあとも実務研修が必要となります。
合格率は2割ほどと難しい試験ですが、人気を集めている資格です。
ケアマネージャーの取得条件
ケアマネジャーになるためには、以下のような道のりをたどることになります。
画像引用元:http://www.caresapo.jp/juken/caremane/naru-caremane/22746
まず、国家試験(介護支援専門員実務研修受講試験)を受けるために、いずれかの実務経験が必要となります。
そのうえで受験・合格すると、実務研修を受講することになります。
研修を終えると、晴れて「ケアマネジャー」の仲間入りです。
※ただし、受験資格については数年ごとに改定されていますので、注意してください。
ケアマネージャーのメリット
1.介護業界の中では、高収入
ホームヘルパーの平均年収が293万円なのに対し、ケアマネジャーの平均年収は372万円。
79万円も差があります(平成27年、年収ラボのデータによる)。
2.日中の仕事が主になり、残業も少ない。休日労働もほぼ無い。
3.介護についてのスキルが身につき、ステップアップにつながる
4.就業先の選択肢が広がり、転職にも有利
5.訪問看護ステーションやデイサービス施設の開業も可能
【人気資格第6位】介護福祉士(ケアワーカー)
高齢や、心身の障害などにより日常生活が困難な方に向け、適切な介護を行うのが「介護福祉士」。
少子高齢化に伴い、需要が高まっている仕事です。
・食事や排せつ、入浴などの「身体介護」
・家事全般の生活援助
・心のケア
などを行います。
国家試験ですが、合格率は6割前後と、試験自体は比較的易しい部類に入ります。
介護福祉士の取得条件
国家試験を受けるためには、以下のいずれかの条件をクリアする必要があります。
・厚生労働省指定の養成施設を修了する
・福祉系高校を卒業/終了する
・介護の実務経験3年以上、加えて実務者研修を450時間受講する
この条件をクリアして初めて、試験を受けることができます。
試験をパスすれば、見事資格取得となります。
介護福祉士のメリット
1.夜勤がないので、プライベートの時間を確保しやすい
2.休職後の復帰がしやすい
3.看護だけでなく、介護のスキルも伸ばせる
4.介護の仕事を通じて、コミュニケーション能力がアップする
【人気資格第7位】臨床心理士
臨床心理士は、心の問題に携わる専門職です。
心の問題に悩む人が多い中、ニーズも高く、目指す人も多い資格です。全国で2万5000人前後の有資格者がいます。
臨床心理学に基づく知識・技術を使った観察や面接、さまざまなテストを通じ、相手の特徴や問題点を明らかにし、問題改善をはかります。
また、学校や企業、地域社会においてカウンセラーとして働いたり、調査・研究活動に携わったりすることもできます。
公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会による民間資格で、試験の合格率は6割前後です。
臨床心理士のメリット
試験を受けるためには、以下の条件のいずれかをクリアしている必要があります。
・協会が定める第1種指定大学院の修了
・協会が定める第2種指定大学院を修了し、修了後1年以上の心理臨床経験がある
・諸外国で指定大学院と同等以上の教育を受け、修了後に日本国内で2年以上の心理臨床経験がある
・臨床心理学(またはそれに準ずる心理臨床)についての専門職大学院の修了
・医師免許を持ち、取得後2年以上の心理臨床経験がある
試験自体は合格率6割と易しい部類に入りますが、それを受けるまでの条件が厳しいのがネックです。
看護師が働きながら取得するには、放送大学(協会が定める第2種指定大学院の1つ)での通信教育がおすすめです。
臨床心理士のメリット
1.病院の枠を超えて活躍できる
(学校や企業、地域社会や福祉施設など)
2.心のケアのスキルが身につき、看護にも役立つ
3.数ある心理系資格の中でも、最も知名度・信頼度が高いと言われている
【人気資格第8位】精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)
精神保健福祉士は、精神科ソーシャルワーカー(PSW)とも呼ばれます。
精神的な障害を持つ人をサポートするのが仕事。
相談や生活支援、助言、訓練、社会参加のサポート、環境の調整などを通じて、相手がスムーズに生活できるように援助します。
国家試験で、毎年1回実施。合格率は毎年6割前後です。
精神保健福祉士の取得条件
試験を受けるためには、11通りのルートがあります。
専門的な勉強や、実務経験などが必要となるのです。
画像引用元:http://www.sssc.or.jp/seishin/shikaku/route.html
精神保健福祉士のメリット
1.病院以外でもニーズが高く、活躍のフィールドが広がる
(保健所や保健センター、精神障害者地域生活センター、精神障害者生活訓練施設、精神障害者福祉工場などの各施設、介護系施設など、多くの職場で需要があります)
2.多くの職場から需要がある分、転職先の選択肢が広がる
【人気資格第9位】救急救命士
救急救命士は、救急車に同乗し、医師からの指示のもと搬送中の救急救命処置を行います。
出動要請があればすぐに現場に駆け付け、対応します。
また、救急訓練や講習、救急車の設備確認、応急手当などの啓発活動にも携わります。
国家資格で、試験を受けるためには一定の条件があります。試験の合格率は8割以上です。
有資格者は全国に3万7000人以上。男性の仕事というイメージがありますが、女性も多く活躍しています。
救命救急士の取得条件
平成3年8月15日以降に看護師免許を取得した人は、国家試験の前に、救急救命士養成所で2年間学び、修了する必要があります。
それ以前に看護師免許を取得した人は、養成所はパスして、そのまま試験を受けることができます。
救命救急士のメリット
1.都市部のみならず地方でも救急救命士は不足傾向にあり、需要が高い
2.救急医療に特化した知識・スキルが身に付き、看護の仕事に役立つ
【人気資格第10位】3学会合同呼吸療法認定士
・特定非営利活動法人 日本胸部外科学会
・一般社団法人 日本呼吸器学会
・公益社団法人 日本麻酔科学会
による認定制度です。
吸入療法、酸素療法、呼吸理学療法、人工呼吸などの呼吸療法は、重症患者管理の重要なポイントの一つ。
にもかかわらず、医療機関には呼吸療法に精通したスタッフが不足しています。
呼吸管理を行う医療チームの中でスペシャリストとして活躍できる人員の養成や、レベルの向上を目的とした資格です。
呼吸療法の実施、およびその管理など、専門的なスキルを学ぶことができます。
有資格者は全国で43,463人。そのうち23,807人が正看護師です。
試験の合格率は、毎回6割前後となっています。
呼吸療法認定士の取得条件
まず「3学会合同呼吸療法認定士認定講習会」を受ける必要があります。
講習会受講にも、2つの条件があります。
1つ目は、以下のいずれかの条件にあてはまることです。
・臨床工学技士免許を持ち、2年以上の実務経験がある
・看護師免許を持ち、2年以上の実務経験がある
・准看護師免許を持ち、3年以上の実務経験がある
・理学療法士免許を持ち、2年以上の実務経験がある
・作業療法士免許を持ち、2年以上の実務経験がある
(※ただし実務経験にアルバイトは含まず、常勤期間のみで考えます)
2つ目は、講習会申し込みの申請書類を出してから5年以内に認定委員会が認める学会・講習会に参加し、12.5点以上を取得することです。
この2つの条件を満たして初めて、認定講習会に参加することができます。
認定講習会を受講した人(および受講した年度を含め3年以内の人)は、認定試験の受験資格があります。
呼吸療法認定士のメリット
1.大学病院など、有資格者を優遇する求人がある
2.呼吸療法に関する知識・技術が向上し、看護業務上の的確な理解・処置につながる
*
いかがでしたか?
看護師に人気のオススメ資格トップ10をご紹介しました。
中には取得がなかなか難しそうな資格もありましたが、資格取得に興味があるならまずは身近で易しい資格から始めてみても良いと思います。
・ある分野に詳しくなりたい
・収入アップや待遇アップにつなげたい
など、資格取得をするとメリットが盛りだくさんでしたね。
自分の希望に繋がる資格を見極めて、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。