看護師が必要とされている職場は様々ですが、その中の一つに有料老人ホームがあります。
有料老人ホームとは、いわゆる民間の老人ホームのことを指し、
公的な機関や法人による特別養護老人ホームなどの老人福祉施設とは異なるものです。
そのため運営する団体や企業によって、規模やサービス、その他の特徴は大きく変わってきます。
施設によっては、医療施設と提携しているだけのマンションタイプのものもあれば、
医師や看護師が常駐し、24時間介護が受けられるタイプのものなど、施設の種類は様々です。
その中でも多くの有料老人ホームは、
キッチンやバスルームがつかないワンルームの個室を居室とし、
食事には共有スペースのリビングや、入浴には介助が受けられる機械浴室が備えられたものが一般的です。
また有料老人ホームの中には、介護士が24時間常駐したり、
日中には看護師も常駐するなどサービスが充実しているところもあります。
介護保険の適用に関しては、受けられる介護の程度によって異なってきます。
最近では、介護事業を扱う企業により全国的に有料老人ホームが展開されているケースも多く、
スタッフ育成も効率よく行われているのも特徴です。
目次
■有料老人ホーム勤務の看護師平均年収
有料老人ホームでの仕事は、数ある介護系の仕事の中でもかなり高収入の部類に分類されます。
有料老人ホームで働く看護師の中には、年収が500万円以上ある看護師も少なくありません。
パートやアルバイトとして働く非常看護士の場合、時給平均は1,500~2,000円ですが、
中には時給が2,000円を超える老人ホームもあり、人気を集めています。
有料老人ホームは、民間の企業により運営されているため、
個室の居住スペースや日々の多彩なアクティビティなど、バラエティ豊かなサービスが行われています。
そのため公的機関による老人福祉施設などに比べると、
入所にかかる費用は高額になるのが一般的です。
結果として、有料老人ホームで働く看護師の年収も高くなります。
■有料老人ホーム勤務の看護師に必要なスキル
有料老人ホームで働く看護師の業務内容は、
基本的に入居者の健康管理です。
入居者一人ひとりの健康状態に合わせて、
食事の種類や柔らかさを指示したり、アクティビティなどの活動の可否を判断したりします。
また入浴前の体調チェックや、投薬の管理も看護師の仕事です。
些細なことで体調を崩しやすいお年寄りが集まる老人ホームにおいて、
このような看護師の仕事は非常に重要な業務ですが、
病棟勤務で行うような医療行為が行われるわけではないので、
看護師として医療的な処置を沢山こなしたいという方には向かない仕事でしょう。
・仕事量は比較的少ない
病棟勤務に比べると、有料老人ホームでの看護師の仕事量は比較的少なくなります。
看護師としての業務の他には、他の介護士と同じような入居者の介護や、
入居者の話し相手がメイン業務となってきます。
特に年配の入居者は、専門知識のある看護師に相談することで心理的に安心するケースも多いため、
入居者との会話は大切な業務の一つです。
有料老人ホームで看護師として働く場合は、看護のスキルだけではなく、
年配者の話し相手になって、精神面のサポートを行うことも必要なスキルとなってきます。
・医師にかわって看護師の判断が求められる
有料老人ホームの多くでは、医師が常駐しているケースは非常に稀です。
そのため、緊急時には医師にかわって看護師が医療行為の判断を下す必要があります。
薬を飲ませて安静にさせる、車で病院まで連れて行く、
救急車を呼ぶ等、その時の状況に合わせて取るべき対応は様々ですが、
高齢者なだけに病状に合わせた適切な判断を下さないと、命に支障をきたす危険性もあります。
そういった点においては、キャリアの少ない看護師よりは、
ある程度の病棟勤務の経験がある看護師のほうが、緊急時にも冷静に対応でき、適正があるといえるでしょう。
■看護師が有料老人ホームで働くメリット
・看護の仕事が比較的楽
看護師が有料老人ホームで働くメリットの一つとしては、
まずは看護師としての仕事が比較的楽だということがあげられます。
有料老人ホームには、基本的に重篤な病気を抱えている入居者はいません。
そのため、日々の業務は入居者の健康チェックが中心となり、
高度な医療的処置が求められることはまずありません。
万が一医療行為が必要な場合でも、
有料老人ホームで働く看護師に求められる仕事は、
病院に行く必要があるかどうかの判断と病院への付き添いのみなので、
医療行為を行う必要はありません。
そのため有料老人ホームは、結婚や出産などによるブランクのある看護師が復職する際に人気の職場でもあり、
更に有料老人ホームの数が全国的に増加していることもあり、求人数も豊富なのが特徴です。
・日勤のみでも高年収が期待できる
有料老人ホームでは、昼間は看護師の常駐が必須とされていますが、
夜間に関しては特に規定が無いため、看護師が常駐するのは日中のみというケースも少なくありません。
そのため基本的に、有料老人ホームでの看護師の勤務スタイルは日勤専従が一般的です。
入居者の具合が急に急変し、病院への付き添いが発生したりした場合には、
提示で勤務を終えるのが難しいケースもありますが、
基本的には残業も少なく、働きやすい就業環境も魅力の一つです。
■看護師が有料老人ホームで働くデメリット
・看護師以外の介護の仕事が必須
看護師が有料老人ホームで働く際のデメリットとして、
看護師としての看護の仕事に専念できない点が挙げられます。
有料老人ホームでメインとなる業務は介護の仕事であり、看護の仕事は非常に限られています。
一般的に有料老人ホームで働くスタッフの大半は介護士で、
看護師は非常に少数で、場合のよっては1人だけというケースもあります。
そのため、介護スキルのある看護師は、入居者の介護の仕事を手伝わされることも多く、
本来の看護の仕事に専念できないことも多くあります。
中には、現場を仕切る介護士から理不尽な指示を受けるなど、
介護と看護の業務分担がうまく行われていない場合には、
看護師としての仕事に支障をきたすケースも少なくありません。
・看護師としてのスキルアップは困難
有料老人ホームにおける看護師の業務は、
医療行為というよりは入居者の健康管理が中心となってきます。
また一般の病院などで行われている医療に関する研修や勉強会といったことも、
有料老人ホームでは行われていないため、医療に関する最先端の知識を身につけるためには、
不向きな環境だといえるでしょう。
そのため、医療行為を中心とする看護師としてのスキルアップは難しくなってきます。