少子高齢化社会に伴い、需要が高まっているのが「訪問看護」の仕事です。
でも「訪問看護師」という仕事は聞いたことがあっても
・どんな仕事をするのか
・どんなメリットがあるのか
・お給料はどれくらいなのか
など、詳しいことはわからないという方も多いのでは?
そこで今回は、訪問看護師に関する情報について、ご紹介します。
①訪問看護師って、どんな仕事?
訪問看護師の仕事内容
訪問看護は、
・病気やケガが原因で、自宅で寝たきりの生活をしている方
・リハビリが必要な方
など、自宅で療養している方に対して、ケアやサポートを行う仕事です。
・医師の指示に従い、血圧や検温などのバイタルチェックや、処置を行う
・在宅でのリハビリのサポート
・利用者さんの入浴など、生活上の介助
など、さまざまなケアを行うので、幅広い看護スキルが必要となります。
さらに、利用者さん本人だけでなく、そのご家族とも密接に関わることになります。
一人一人と向き合う時間が長い分、責任も大きい仕事ですが、やりがいも大きいのが魅力です。
訪問看護師の主な職場
主には「訪問看護ステーション」で働くことになります。
「訪問看護ステーション」とは、自宅で療養している患者さんへのケアを行うため、訪問看護を専門として運営されている事業所のことをいいます。
高齢化に伴い事業所は増加傾向にあり、事業所数は全国で約7,500件にものぼります(平成26年時点)。
小規模な事業所が多く、看護師が5人未満の事業所は、全体の6割以上を占めています。
また“小児看護専門”など、ある分野に特化している事業所もあります。
「訪問看護ステーション」以外だと、
・有料老人ホーム
・老人介護施設
でも訪問看護師の採用があります。
②訪問看護師のメリット/デメリット
訪問看護師のメリット
1.ワークライフバランスが取りやすい!
訪問看護の仕事は、基本的に土日休みです。
また、1日の訪問件数・訪問時間も決まっているので、残業・夜勤はほとんどありません。
そのため、プライベートも充実できると、人気を集めています。
・仕事と家事、子育てを両立できる
・土日休みだから、友達や家族、恋人とも休みを合わせやすい
といったメリットがあります。
また、日勤のみの規則正しい生活となるので、健康に気をつかう方にも向いています。
不規則で多忙な勤務になりがちな病院勤務と比べると、大きな魅力ですね。
2.ほかの仕事と比べ、給料が割高!
訪問看護の給料は
非常勤:時給1,500円~2,000円
常勤:月給25万円~35万円
が相場で、平均年収はだいたい400~500万円程度です。
(ただし、賞与の有無など、施設によってある程度前後します)
この年収額は、20代後半の病院看護師とほぼ同額です。
しかし、病院看護師は勤務日が不規則かつ、残業・夜勤も当たり前。
それに比べて、訪問看護の仕事では、日勤のみで残業はなし、土日は休みです。
勤務環境が恵まれているのに、お給料も割高なので、かなりメリットの大きい仕事といえるでしょう。
3.仕事のやりがいも大きい
訪問看護の利用者さんの多くは、末期がんなどの終末期の患者さんや、寝たきりの方。
残りわずかな人生をどう生きて、どう死を迎えるかという、人生の重大な局面に立っています。
そういった状況で、病院でのケアではなく、自宅での療養を選んだ方たちなのです。
その気持ちに寄り添ってケアをする訪問看護は、ほかには無い、やりがいの大きい仕事です。
患者さんとしっかり向き合うことができ、最期まで見届けることができます。
「患者さんやご家族から送られた感謝の言葉が忘れられない」という訪問看護師も多いです。
訪問看護師のデメリット
1.潔癖症、動物が苦手な人には厳しいかも…
訪問看護師は、訪問するお宅を選ぶことはできません。
中には、汚れているお宅や、あなたが苦手なペットがいるお宅に伺わなければならないこともあるでしょう。
お宅が汚れているからといって、持参のスリッパを履くのも考えものです。
わざわざスリッパを履くことで、利用者さんに対し「家が汚い」と思っているのが伝わってしまい、利用者さんの気分を害してしまう可能性があるからです。
訪問看護師の中には、靴下を二重に履いておいて、利用者さんには気づかれないようにサッと一枚脱ぐという工夫をしている人もいるようです。
(こうすると、自分の靴も汚れませんし、利用者さんの気分を損ねることもありませんね)
ですが、どうしても耐えられないという方もいるでしょう。
潔癖症・動物が苦手な方は、転職する前に要検討です。
2.職場によって、給料がかなり前後する
先述のとおり、訪問看護ステーションの約6割以上は、看護師5名以下の小規模な事業所です。
こういった事業所の場合、訪問できる利用者さんは限られてしまい、利用者さんの数も少ない傾向にあります。
もし利用者さんが亡くなったり、入院してしまったりすると、売り上げに響いてしまい、働いているスタッフのお給料にも影響します。
小さな事業所は、経営が不安定になりがちなので、安定した収入を求める方は、10名以上の看護師が働く、比較的規模の大きい訪問看護ステーションを見つけるといいかもしれません。
また、給与面でいえば「年俸制」なのか「歩合制」なのかというのも重要なポイントです。
年俸制の場合は、前年度の実績や経験によって仕事が評価され、次年度に支払われる給与額が決められます。
ところが、歩合制の場合は訪問した回数=仕事量に給与が左右されるので、より不安定になりやすいです。
こういった面にも注意して、職場選びをする必要があります。
3.都心の場合は、自転車での訪問となるため、ちょっと大変
地方での訪問看護の場合、自動車での移動がメジャー。
ところが、都心での訪問看護の場合、電動自転車を使っての移動が一般的です。
天候が悪い日でも、ケアを待っている利用者さんのために移動しなければならないので、自転車での訪問を行う職場だと、結構大変かもしれません。
③訪問看護師が求められるスキル
訪問看護師がおこなうケアは、多岐にわたります。
そのため、幅広い知識やスキルが求められますが、最初からすべてのスキルを持っておかなければならないというわけではないので、安心してください。
1つだけ必要なスキルを挙げるとするならば、熱意とコミュニケーションスキルでしょうか。
訪問看護師は、利用者さんと深いコミュニケーションを行うことになります。
患者さんにより寄り添い、満足いただくためには、どのようなケア・コミュニケーションを行えばいいのか。
熱意をもって取り組める方が、この仕事に向いていると言えるでしょう。